「遠い空の向こうに」は、NASAの技術者であるホーマー・ヒッカムの自伝が原作の青春映画です。
原題は、「October Sky」であり、ホーマーの自伝のタイトル、「Rocket Boys」のアナグラムとしてつけられました。
直訳すると10月の空ですが、確かに映画自体も秋を感じるような味わいや雰囲気があります。
目次
映画:「遠い空の向こうに」のあらすじ・概要
公開 | 1999年 |
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監督 | ジョー・ジョンストン |
主演 | ジェイク・ギレンホール |
TOMATOMETER | 90% |
将来、NASAの技術者になるホーマー・ヒッカムの高校時代を描いています。
ホーマーは、1957年にソ連が打ち上げた人類初の人工衛星に衝撃を受け、自分でもロケットを作り飛ばすことに挑戦します。
友人や理解を示してくれる大人の協力もあり、ホーマーの成長を描きます。
舞台となるのは、アメリカのウエスト・ヴァージニア州にある炭鉱の町です。
ほとんどの人生が決まっているような町で、炭鉱夫になるのが当たり前という認識を誰しも持っています。
ホーマーは、自身の未来を切り開くためにもロケット作りに熱中していきます。
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主人公のホーマー・ヒッカム
遠い空の向こうにの主人公、ホーマー・ヒッカムを演じるのはジェイク・ギレンホールです。
ジェイク・ギレンホールは昔から、スター感ありますよね。
炭鉱夫の頑固な父親と、アメフトで奨学生として大学からスカウトが来るジョックな兄を持つホーマーは、自分は炭鉱夫に向いていないし、アメフトで奨学生になるのは無理だと考えています。
ロケット作りを通じて、自分が何を本当にやりたいのか、炭鉱夫という選択肢しかない町から抜け出すにはどうすればいいのかを考えています。
純粋にロケット作りに興味を持ち、夢を追いかけてロケット作りを行い、さまざまな困難や父親との対立を経て、科学コンテストの優勝を目指し、将来への道を切り開こうと突き進んでいきます。
ロケットボーイズのメンバー
ハーマーは友人の、ロイ(ウィリアム・リー・スコット)とオデル(チャド・リンドバーグ)を誘いロケット作りを始めます。
二人ともアメフトでも、勉強でもこの町から抜け出せないような感じです。
ロイの父親はホーマーの父親の優秀な部下でしたが、炭坑の事故でなくなっており、養父はクソ野郎です。
オデルは、足が悪く引きずっています。
3人で始めたロケット作りでしたが、知識が足りず、変わり者と言われていましたが頭が良いクエンティン・ウィルソン(クリス・オーウェン)を誘い、4人でロケット作りに没頭していきます。
ホーマー以外の3人も実在の人物で、3人の将来もエンドロールで観ることが出来ます。
ロケットボーイズの協力者
基本的に町の人たちは協力的です。
邪魔するとかそういう嫌な人は出てきませんしね。
中でも協力的だったのが、学校の先生のミス・ライリー先生(ローラ・ダーン)です。
彼女は、最初から最後までホーマーたちを信じて応援していました。
後は、炭鉱夫たちの中で技術的な協力やアドバイスをしてくれた方もいます。
ビコフスキーさん(エリヤ・バスキン)とフレッドさん(ラリー・ブラック)です。
炭鉱夫であり待ちの現実をよく知る二人も、ホーマーの夢のために協力してくれました。
後は、何と言ってもホーマーの両親でしょう。
「遠い空の向こうに」は、夢に向かって努力した サクセス・ストーリー的な物語でもありますが、親と子の愛情の物語でもあるからです。
ホーマーの両親や家族のドラマでもある
ホーマーは両親と兄の4人で暮らしています。
兄は、アメフトで奨学金を得られる体育会系の人物でホーマーとは兄弟ながらタイプが違います。
母親は、肝っ玉母さん的な感じで兄弟に差を設けず愛称を注いでいますし、旦那の扱いも長けた良いお母さんといった感じです。
一番の見どころは、ホーマーと父親の関係でしょう。
父親のジョン・ヒッカム(クリス・クーパー)は炭鉱で働いており、頼りになる人物です。
頑固な性格であまりロケットを飛ばすことに意味を感じてはいませんが、さり気なく協力をしてくれます。
ですが、現実的に炭鉱で働くことが当たり前なので、ホーマーに早く目を覚まして現実を見ろという態度は隠せません。
また、度重なるストや危険な現場での仕事でストレスや疲労を溜めており、事故で怪我もしてしまいます。
怪我をしている間、代わりに働いてくれたホーマーを誇らしげに思い、炭鉱で一緒に働くことを期待しています。
ホーマーは、ロケットを通して町から飛び出し、父親に認められたいと思っており、ジョンもホーマーを愛していますが、不器用な面もあり、うまくかみ合いません。
この父と子の絆と愛の部分が、「遠い空の向こうに」では重要な働きをしており、感動させてくれます。
映画:「遠い空の向こうに」のネタバレ・感想
遠い空の向こうには実話が基にされていますので、ある意味で話は明確です。
NASAの技術者になったホーマーの高校時代のロケット作りと、その道に進むことになったキッカケとも言える出来事、バックグラウンド、人物、などが描かれます。
地方の田舎の小さな炭鉱の町は、ハッキリ言ってしまえば廃れた町であり、夢や希望を抱いても実現できないことの方が多いことでしょう。
現実的に考えたら、無理、夢物語と言われるのも仕方がありませんが、ホーマーは自分の手で未来を切り開きました。
若者がサクセスしていく、キッカケを描いていると同時に、思春期の難しい親との関係や夢を追うことの厳しさも描かれています。
高校時代ということで、軽く恋愛模写もありますが、どちらかというとホーマーの両親の方が恋愛模写ある感じしますよね(笑)。
ロケット作りを通して、未来への切符をもぎ取る若者にも心を動かされますが、やはり父親のジョンにやられますね。
表情とかで最後もやられちゃいます。
ジョンも厳しいけど、とてもやさしくていい人です。
信頼される人物なんだなってのは各シーンで感じ取れますし、他人の子供のためにも怒れる立派な大人です。
父親を悪役にしないで描いているのも、上手いとこだと思います。
ホーマーからも自分にとってのヒーローは父親であり、尊敬しているということは対立しながらでも感じ取ることが出来ます。
田舎の炭鉱の高校から、全国規模の科学コンテストで優勝することすら奇跡的と言えるでしょうが、そこから更なる道を目指し、現実的に達成したということが実話とは思えないぐらいの話です。
遠い空の向こうに、「宇宙兄弟」好きにもオススメです!
「遠い空の向こうに」は、実話ベースですがドラマチックです。
舞台の町やホーマーがやることは地味ですが、ドラマチックです。
炭鉱は地下に向かって降りて行く仕事です。
ホーマーは空に憧れています。
でも、個人的には、炭鉱で地下に降りて行くシーンにも何か宇宙を感じます。
後に、炭鉱は閉鎖されて行く運命でした。
現実ではNASAに行ったホーマーですが、仮にNASAに行けなかったとして、炭鉱で働くことになったとしても、ロケット作りやコンテストへの出場は無駄ではなかったでしょう。
信念をもって最後までやり抜く、意志を貫くということの大事さをとても感じます。
また、家族の温かさもスゴイ感じます。
あと、この話はもろに漫画の「宇宙兄弟」でオマージュされていますし、言及されているので、宇宙兄弟ファンも観てみてください。
とにかく、百聞は一見に如かずですので、
言いたいことは、
「遠い空の向こうに」、オススメです!
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