「大日本人」は、ダウンタウンとして人気お笑い芸人の松本人志が、
満を持して、メガホンを取った第一回監督作品になります。
10億円もの製作費をかけ、これまでのコント同様に、
独特の世界観を作り上げた、松本人志的映画です。
目次
映画:松本人志第一回監督作品「大日本人」の概要
公開 | 2007年 |
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監督 | 松本人志 |
主演 | 松本人志 |
TOMATOMETER | 78% |
松本人志の監督デビュー作として注目をされた「大日本人」は、
ある男のドキュメンタリー番組の撮影という形態で描かれています。
いわゆる、モキュメンタリー映画になっています。
大日本人という巨大ヒーローに変身する大佐藤の日常や戦いを通し、
日本の特撮ヒーローや情勢をパロディしつつ、松本人志ワールドを展開させていきます。
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松本人志監督の「大日本人」は異色のヒーロー映画
映画、大日本人は、大日本人というヒーロー映画という事が出来ますが、
ヒーロー映画としたとしても異色です。
松本人志が演じる大佐藤大は「6代目:大日本人」として、
日本にやってくる巨大生物の獣(じゅう)と戦うことを仕事としている人物です。
ビルほど大きな獣と戦うヒーローなので、
本当の意味でも国民のヒーローなのかなと思ったら、人気がなく迷惑がられている存在。
戦前から続く日本の文化としての大日本人のプライドを持つ大佐藤は、
世間の風当たりや失礼なドキュメンタリーのディレクター、プライベートの問題と並行して、
迫りくる獣たちと戦い続けているという日々を送っています。
松本人志らしさ満載の哀愁と笑い
松本人志の傑作コント作品「HITOSI MATUMOTO VISUALBUM」に通じる作りだなと、
個人的には感じます。
特に「巨人殺人」とかは、映画的な雰囲気も強い作品ではないでしょうか。
大日本人は、ドキュメンタリーディレクター(長谷川朝二)から、
質問やインタビューを受けている大佐藤や関係者などで構成されていますが、
実際、ワンカットのインタビューシーンだけでも30分ぐらいだったら、
1本のコントとして成立するというか、ヴィジュアルバムに入っててもおかしくないな、
という感覚を覚えることもあります。
ヴィジュアルバム同様というか、松本人志的というか、
やはり切ない笑い、クスッとさせる言い回し、再現できない素人の空気感、
などのお笑い要素というか松本人志要素は満載ではないでしょうか。

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大日本人は松本人志の空気感と世界観が重視されている
大日本人の世界観の作りこみ方は、秀逸だと思います。
小道具もセットもそうですが、配役も良い適していて、
大日本人がいる世界をしっかりと現実味があるように描いています。
大佐藤は見ていて、恥ずかしいところばかりで、
かっこいいところはひとつもないと言ってもいいキャラクターなんですが、
なぜか、感情移入を多少してしまうボンクラ感を感じさせてくれます。
作りに作りこんだ世界観があったからこその、
最後のオチに繋がるというか、そういうオチにしたんだろうなって、
考えると、違った見え方がして面白いと思います。
また、出てくる獣も昔から何匹も出ているという設定で、
古い資料みたいなので紹介し面白いですし、図鑑みたいのがあるんだろうなと、
思わせてくれて、獣に対する違和感もなくせていると思いますね。
映画:大日本人のネタバレ・感想
大日本人は普通にコントの延長線上の映画という感じでしょう。
というか、映画というパッケージでコントを作ったとでも言いましょうか。
こんなの映画じゃない!つまらない映画だ!という事ではなく、
松本人志の長編コントとして観れば、個人的には楽しめましたね。
大佐藤のドキュメンタリーで日常を追い、ちょろいウソがばれていく様は笑えますし、
どんどんディレクターに舐められていく感じも笑えます。
大爆笑ってよりは、にやって感じが多いですが、
警備員のおっさんとかのインタビューも面白いし、
けっこう笑える要素は多い映画だなと思いますけどね。
ただ、好き嫌いはハッキリ分かれるかなという印象です。
個人的には、ただのインタビューで意外と観れてしまう感覚なので、
詰め込み過ぎた感も感じますが、映画としてストーリーを持たすなら仕方がないでしょう。
また、当時のアメリカと北朝鮮との日本の関りを風刺というかパロディしてますが、
そんなとこは設定のひとつというぐらいで、意識しないで、
変なヒーローになる冴えないおっさんの哀愁ある人生のドキュメンタリーとして、
面白いと思いますね。
映画:大日本人、攻めていて評価したい!
松本人志第一回監督作品の大日本人は、
10億円もの製作費をかけて、受けとかヒットを狙わないで、
作りたいものを作ったという姿勢を感じるので映画として個人的には嫌いになれない映画です。
大日本人以降の松本人志監督作を観ていないのですが、
大日本人以降は、作りたいものという印象が個人的には薄れていっている気がします。
大日本人は、これまでやってきたことの延長線上で挑戦し、
挑戦的でもあるし、攻めている映画だと思い、
すげえ面白いとか、良く出来ている映画とは言えませんが、
なんか嫌いになれないし、確かな魅力も持っている映画だと思います。
それは、これまでダウンタウンが好きで、95年から2000年代の活躍を見てきており、
放送室のリスナーだったというファン視点があることも否定はできません。
要は、松本人志が作った作品であるなということは伝わる映画という事です。
とにかく百聞は一見に如かずですので、
松本人志第一回監督作品「大日本人」、観てみてね!

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