「セント・オブ・ウーマン/夢の香り」は、たまたま、最後の演説シーンをテレビで観たことがキッカケに知って、しっかりと観直したらハマってしまった映画です。
タイトルだけではどのようなストーリーかよくわからないでしょうが、アル・パチーノの演説シーンだけで持ってかれてしまう名作です。
そこを観ただけで前後の内容も知らないのに、インパクトが残った映画です!
目次
映画:セント・オブ・ウーマン/夢の香りのあらすじ・概要
公開 | 1992年 |
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監督 | マーティン・ブレスト |
主演 | アル・パチーノ |
TOMATOMETER | 88% |
盲目の退役軍人の世話のバイトとしてやることになった学生とその元軍人の交流を描いた作品です。
田舎から出てきて名門高校に奨学生として通う優秀ながら大きな葛藤を抱えている生徒が、故郷に帰る旅費を稼ぐために、気難しい盲目の退役軍人の世話をすることになります。
軍人が人生の授業と称し、若者を連れてニューヨークに飛ぶと言い出し、ニューヨークでの出来事を通した二人の交流が、二人のこれからの人生自体も大きく変えていくことになります。
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真面目な苦学生:チャーリー・シムズ
チャーリー・シムズ(クリス・オドネル)は、ボストンにある全寮制の名門ベアーズ高校に奨学生として、遠いオレゴンから単身で通学しています。
優等生であり、若干ボンボンばかりの連中とは距離を置いている感はありますが、特に学校生活に問題があるわけでもなく勉学に励んでいます。
クリスマスに実家に帰る旅費の足しにと、報酬が良い求人を見つけて応募したところ、フランクの世話のバイトをすることになり、二人は出会います。
盲目の退役軍人:フランク・スレード中佐
口は悪いが根は優しいといわれるフランク・スレード中佐(アル・パチーノ)は、ある事故で盲目になってしまい退役しています。
退役後は、姪の家族の元で暮らしています。
ウィスキーのジャック・ダニエルを好み、女性を好み、盲目になった後も勢いと迫力は衰えてはいませんが、絶望感も隠し持っています。
姪家族が、旅行に行く期間を狙いニューヨークに行きある計画を実行しようと考えています。
計画とは、ニューヨークの地で思い出を巡り、やり残したことを終えた後に、拳銃で自殺するというもので、エネルギッシュな中佐が旅の終盤から疲労感や絶望感を表に出てしまい、衝動につき動されるシーンは、見ものです。
衰えない勘の鋭さと迫力
フランクは目が見えなくなっても、勘の鋭さとこれまでに培った人としての厚みからなのか、迫力がある人物です。
言いにくいこともズバズバと物を言い、紳士的な面もありますが、気にくわないことやプライドを傷つけられた際は、怒りを表します。
頑固な人物ですがユーモアもあり、姪の言うとおりに根は優しい人物ですが、それがわかるまではある程度の時間が必要ですし、彼に気に入られないと無理という感じです。
世話のバイトに応募したチャーリーに対して、面接めいたやり取りからもわかるように自分のルールを持ち、相手を見定める能力にも長けています。
チャーリーは人生の岐路になる問題を抱えている
チャーリーは学校を出る際に、校長を狙ったイタズラを仕掛けている3人を目撃してしまいます。
その際に、その3人と仲間のジョージ・ウィリス・Jr(フィリップ・シーモア・ホフマン)も一緒に目撃し、口止めすることを強要されます。
ジョージとその3人は仲間であり、チャーリーは友人というわけでもないのですが、チャーリーは告げ口をすることを快く思っていないので、黙っていることを承諾します。
ですが、イタズラがバレて目撃者として二人は校長に呼び出され尋問されます。
その際に、犯人を言えば大学へ推薦してやるという甘い言葉と、もし黙っているならば退学させるという脅しを受けて、チャーリーは悩みを抱えつつフランクとの旅の時間を過ごすことになります。
大事になると思っていなかったイタズラでしたが、校長の怒りは大きく、休み明けに全校生徒や教師などを集めた裁判のようなものを開催するまでの事件になってしまいます。
悪を気取ったボンボン4人組
チャーリーを悩ませる原因となったボンボン4人組は、ジョージ以外にイタズラを仕掛けた犯人である、
- ハリー
- ジミー
- トレント
がいます。
コイツラが校長にイタズラを仕掛けたことで問題が発生してしまいます。
ハリーはリーダー格であり、ジョージに黙っているように念を押しています。
4人は、チャーリーとは友人ではなく自分らは金持ちのボンボンなので、貧乏なチャーリーを内心ではバカにしています。
まぁ言っても、ボンボン学校で悪を気取っているだけなんで、大したことないですが、親の力などもあるのか幅を利かせています。
簡単に言ってしまえば、シャバ僧って感じでショボいですが、コイツラのイタズラのおかげでチャーリーは大変迷惑な状況になってしまったわけです。
ニューヨークの旅が二人に変化と絆をもたらす
チャーリーはフランクの自宅で世話をすると思っていましたので、ニューヨークへ行くことに乗り気ではなく、驚いていましたがついて行かないといけません。
また、学校で起きた事件について自分はどうしたらいいのかということを、フランクに話をします。
その話を聞いたフランクも意見を言ったり、今後の展開を的確に予想したりもします。
高級レストランでの食事やリムジンの移動など、華やかなニューヨークでの時間も多少楽しむことがチャーリーも出来てきており、フランクとも当初より打ち解けてきていますが、どこかフランクから不穏な気配を感じてもいます。
ニューヨークでの行程は、フランクが事前に計画をしており最終目的をやり遂げるために、チャーリーも付き合うことになります。
ニューヨークの兄の家を訪れるフランク
兄の家に訪れた際に、チャーリーはフランクが親族から厄介がられていることを知ります。
また、彼が盲目になってしまった理由も知ります。
フランクは、甥に嫌味を言われても黙っていましたが、チャーリーのことをチャックと呼び続ける甥に、キレます。
去り際に、兄と会話して自分はダメな人間だというようなことを話します。
兄も歓迎しているようではなかったですが、フランクのことを思っているように感じられ、繊細なシーンになっています。
美女とタンゴを踊るフランク
女性が好きなフランクは、ニオイと声や雰囲気で美女かどうかを見抜ける才能の持ち主です。
レストランで人を待っていた女性のドナに声をかけて、タンゴを踊るシーンはストーリーにそれほど大きく関係はないですが、良いシーンです。
また、チャーリーも楽しそうにしており、フランクと過ごす時間を楽しいと感じ出した瞬間とも言えるでしょう。
フランクは自殺を計画している
ニューヨークで思い残すことのないようにした後は、フランクは自殺をしようと考えていました。
チャーリーもフランクの様子がおかしいことに気がついており、気になって様子を見に戻ると、銃を持ち頭を撃ち抜こうとしているフランクを目撃します。
チャーリーは、必死に止めようとします。
フランクは、チャーリーを道連れにしてでも死ぬ!と脅します。
自分は目が見えなくなり惨めで、希望がない中で生きているのが許せないとフランクは言います。
ですが、チャーリーはフランクには価値がある、生きていてほしいと説得し、フランクは思い直し、二人で帰ることにします。
フランクの旅の目的は自殺であり、それをしようとするフランクと必死で止め、言い争うチャーリーとのシーンは緊迫感もあり見ごたえがあるシーンです。
フーアー!チャーリーを援護するフランクの名演説!
フランクは自殺を思い留まり、チャーリーとの信頼感や絆は増して二人は帰途に着きます。
チャーリーにフランクは、別れが嫌いだと言いながらバイト代を払い別れを告げます。
ギリギリ、学校の全校集会という名の公開裁判の時間には間に合ったチャーリーですが、自分の問題が解決されたわけではないままです。
全校生徒の前に校長の仕切りで、ジョージ親子と対峙しているチャーリー。
心細いやら、どうしていいやらわからない状態の時に、フランクが現れチャーリーの横に座り、一緒にこの公開裁判に保護者として参加します。
この裁判は、校長の思惑を孕んでおり、ジョージは友人を売って助かろうとしています。
チャーリーは、犯人を告げ口しないという意志を貫きますが、校長はチャーリーに退学を言い渡します。
それを聞いたフランクは、
友達を売るようなイタチ野郎には、なってないぞ!
と一喝し、ここから、観ている自分も含めて誰もがそうだわ!って思っていたことを機知の富んだ言葉と見事な演説と迫力で繰り広げます。
この演説は、校長の決定やチャーリーの運命を変える大事なシーンです。
また、この部分だけでやられてしまったと言っていいほど、
セント・オブ・ウーマン/夢の香りで一番の見所であり、名演説と名シーンでしょう!
フーアー!
映画:セント・オブ・ウーマン/夢の香りのネタバレ・感想
盲目の軍人と優等生で苦学生の交流を描いた映画と聞くと、臭い話でお涙頂戴かと思う方もいるでしょうが、そんな薄い映画ではありません。
実際、なんでお互いに心を許しあったのだろうかという部分はさり気ない感じで演出されていて、ハッキリと理由は説明できないけど、何となくお互いに気に入ったんだろうって感じがします。
この部分は、逆にリアルな気がします。
また、盲目の軍人のフランクを演じるアル・パチーノの演技は素晴らしいですし、盲目のフランクを可哀想って感じにさせずに、カッコ良くて可愛らしい頑固おやじって印象を与えて重たい感じをさせません。
確かに、自殺をしようとするシーンなどは重く緊迫感も高まるシーンですが、映画全体を観てみると意外にポップな作りになっていると思います。
チャーリーの問題も、よく考えればそんな悩むなよって部分もあり大事になり過ぎてんなって感じもしますが、学校ってそんなもんだよなぁって思いもします。
全部最後に、フランクがスッキリさせてくれるんで、最後に全部持って行ってくれて、
よくやった!
ざまぁみやがれ!
ってな気持ちにさせてくれる感動させるだけじゃない映画です(笑)。
映画:セント・オブ・ウーマン/夢の香り、オススメです!
フーアー!
いやいや、セント・オブ・ウーマンを観るとフーアー!が口癖になりますよね(笑)。
実際に、セント・オブ・ウーマン/夢の香りは演説だけでも、観てほしいと思う映画です。
なぜなら、このシーンを観てしまえば高い確率で全編を観てみようって気になると思うからです。
また、アル・パチーノの演技と迫力には圧倒されます。
チャーリーとは対照的な生徒のジョージ役として出演しているフィリップ・シーモア・ホフマンも風格というかやっぱいい仕事してますね、若い時から。
普通に良い映画と言って、幅広い人にオススメできる作品ではないでしょうか。
とにかく、百聞は一見に如かずですので、
言いたいことは、
フーアー!
じゃなくて、
「セント・オブ・ウーマン/夢の香り」、オススメです!
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