原題は「MOON」になる、「月に囚われた男」は月を舞台にしたSF映画です。
デヴィッド・ボウイの息子であるダンカン・ジョーンズの映画監督デビュー作になります。
低予算であるにも関わらず、良質なSF映画に仕上がっている作品です。
目次
映画:月に囚われた男のあらすじ・概要
公開 | 2009年 |
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監督 | ダンカン・ジョーンズ |
主演 | サム・ロックウェル |
TOMATOMETER | 89% |
月に囚われた男というのは、サム・ロックウェルが演じる主人公のサム・ベルのことになります。
彼はルナ産業と契約し月で採れる資源を採掘する作業員として働いています。
勤務場所は月、契約期間は3年間になり、独り月で作業を行い契約満了まで働くことになっています。
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サム・ロックウェルのほぼ独演会
サム・ロックウェル好きな人には堪らないという最大の理由は、ほぼサム・ロックウェルの一人芝居に今作はなっているからです。
個人的にサム・ロックウェルは好きな俳優で、サム・ロックウェルだから観ようと思ったのがキッカケです。
ダンカン・ジョーンズもサム・ロックウェルに演じてほしくて月に囚われた男を書いて製作したそうなので素晴らしい作品になっています。
サム・ロックウェルの陽気さと危うさを感じさせる絶妙な演技が今作の魅力を高めています。
月に囚われた男:サム・ベルと登場人物
ほぼ独演会と言った通り、登場人物は多くありません。
また、出てきたとしても通信相手であったり、映像や回想が主になります。
企業の関係者や家族が主に映像や回想で共演するぐらいで、基本は主人公であるサム・ベルが主演であり助演です。
月の基地にいるAIコンピューターである「ガーティ」がサム・ベルに次いで重要なキャラクターでしょう。
ガーティの声は名優のケヴィン・スペイシーが担当しており、作品に厚みを与えています。
サム・ベルはもうすぐ月での契約が終わる
サム・ベルは冒頭で的確に仕事をこなしています。
月での契約が残りわずかになっているということで、疲労や変調は多少見えますが仕事は小慣れたものです。
あと残り僅かで地球に帰って家族に会えるという希望を胸にギリギリ耐えているような状態で、ある事件が発生して物語は進みだします。
人口知能:ガーティの存在
ガーティは月での生活をサポートしてくれる「AI」です。
基地の状態や通信、サムの体調から身の回りの世話までしてくれます。
サムは唯一のコミュニケーション相手という面もありますし、企業からの指令や監視、管理を行う手段でもあります。
ガーティの存在も物語が進む中で重要になります。
映画:月に囚われた男のネタバレ・感想
近未来に起こり得そうなSF感と良い具合の低予算感でリアルに感じさせる部分とSF王道の作りを上手い具合に融合できています。
アイデアで予算の不足を補っている部分もあり、安っぽさは感じません。
すべてが良い具合に収まった作品ではないでしょうか。
とにかく、いろいろとサイズ感が良いですね。
サム・ロックウェルは見事でしたし、ストーリーも良かったです。
あらすじとしては、
月で作業している男が契約終了間近にトラブルが起き、真実を知るという話です。
疲労が見えてきたサム・ベルは作業中に事故にあってしまいます。
目が覚めたサム・ベルは基地にいます。
ですが、基地で目覚めたサム・ベルは別のサム・ベルであり、事故にあったサム・ベルを見つけ出してしまいます。
主人公であるサムは文字通り月に囚われた男であるということを知ります。
主演・助演がサム・ロックウェルという意味
ストーリーの主軸なのでネタバレというほどではないですが、
月で作業をしている男は「クローン」でありオリジナルの人間ではありません。
本質的にサム・ベルという人間ではなくコピーです。
そのことに契約間近のサム・ベルと新たなクローンのサム・ベルが気づいてしまい、自分たちがクローンでオリジナルは地球にいることを知ります。
サム・ベルとサム・ベルの競演になり、サム・ロックウェルが主演である助演であるということも月に囚われた男の面白さのひとつです。
どちらもクローンである驚きと悲しみ
冒頭からのサム・ベルから観ているので彼がオリジナルであるという視点で物語を追って観てしまいます。
ですが、彼も月に囚われた男のひとりであるクローンです。
もう一人のクローンと同様に自分もクローンであることに感づいていますが、認められないほど彼は人間味が溢れています。
クローンとは言え個性がある
冒頭からいるサム・ベルはどれぐらいの期間かは不明ですが、月で活動をしており身も心もボロボロです。
新たなクローンはトラブルにあったサム・ベルを発見する立場であり、目が覚めてすぐにもう一人の自分に出会ってしまい、これまでのクローンたちとは異なる立場になってしまいます。
ボロボロのサム・ベルと真実を見つけ出すサム・ベルは、自分同士という奇妙な関係であり、良き理解者、友人になります。
その他の大勢のクローンを発見することで、企業や人間の欲の闇に気づいたとき、クローンという存在自体を考えさせられます。
月に囚われた男は考えさせられるSF
クローン同士である二人は、自分こそが本物であると主張します。
セリフで、
「I’M THE ORIGINAL SAM… I’M SAM FUCKIN’ BELL, ME! ME!」
と、自分こそがオリジナルであるとサム・ベルは言います。
何体目かのクローンなのかわからないサム・ベル。
仮にオリジナルのサム・ベルが地球で死んだ後も永久に月でサム・ベルは作業していくのでしょうか。
クローンは長く持たない設定
3年契約で3年持っているのか不明ですが、サム・ベルが映画の中で3~4体のクローンの最後を映像で見ていましたし、娘の成長度合いから考えても12年~18年は経過しているように感じます。
これまで、何体のサム・ベルが仕事をしてきたのか、映画のサム・ベルは何体目なのかはわかりません。
ですが、無数にスペアが用意されていたことから考えても、闇の深さが伺い知れます。
その後は裁判になったのか?
エンディングでクローンが証言台に立つというセリフがあり真実が世間に明らかになるようです。
ですが、ルナ産業の悪質さは明るみになりましたが、クローンはどうなるのでしょうか。
オリジナルのサム・ベルと娘も平穏な暮らしが送れるのでしょうか。
映画:月に囚われた男、オススメです!
テンポの良さやユーモアの陰に、いろいろと考えさせられる作品ですが、娯楽作品としても楽しめます。
アイデアと映像の勝利とも言えますし、また演じきったサム・ロックウェルは見事ですね。
「月に囚われた男」がデビュー作とはダンカン・ジョーンズは恐ろしい才能です。
ダンカン・ジョーンズの次作である「ミッション: 8ミニッツ」も面白かったので紹介したいと考えています。
まぁ細かいストーリーの解説や深い考察はしていませんが、百聞は一見に如かずですので、
言いたいことは、
「月に囚われた男」、オススメです!
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