「コーヒー&シガレッツ」は、監督のジム・ジャームッシュが1986年から断片的に撮影され、制作された11本の話からなるオムニバス映画です。
タイトルからもわかる通り、コーヒーと煙草というテーマが各話に共通しています。
コーヒーと煙草を嗜みながら、とりとめのない会話を繰り広げていく緩い雰囲気と独特の世界観を持つ作品です。
映画:コーヒー&シガレッツの概要
公開 | 2004年 |
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監督 | ジム・ジャームッシュ |
主演 | 登場人物全員 |
TOMATOMETER | 64% |
何も考えずに、コーヒーを飲み、煙草を嗜み、ボーっとするような時間をそのまま作品にしたような映画です。
11本のストーリーも、繋がりがあるわけではなく、特に何かがあるわけでもない、という印象です。
とりとめのない会話の中にある、空気感というかユーモア、雰囲気を味わう感じでしょうか。
劇的なこともなく、そこまでぶっ飛んだ設定や会話が繰り広げられるわけでもありませんが、何故か観てしまう。
というか、観ていられる。
まさに、この作品自体がコーヒー&シガレッツの役割を果たしているような感じがします。
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映画:コーヒー&シガレッツの構成・各話
コーヒー&シガレッツの構成は11本の短い話から作られており、話ごとにキャストも変わり非常にユニークな顔ぶれになっています。
本人役なのか、架空の人物を演じているのか、意味があるのかないのかわからない会話を繰り広げます。
11本の話に繋がりはなく、空気感は似ていますが、それぞれ異なる魅力を持っているのでお気に入りのものが見つかるかもしれません。
特に、順番に観なくてもいいですし、途中で辞めてもいい。
BGMの代わりになんとなく流しておいても、楽しめると思います。
1.変な出会い:STRANGE TO MEET YOU
ロベルト・ベニーニとスティーヴン・ライトの二人が、コーヒーと煙草を嗜みながら会話を繰り広げます。
変な出会いというか、変な奴らの出会いともいえそうです。
ヘンテコな会話、狂ってるのか、ラリってるのかわかりませんが、噛み合っているような噛み合っていない会話が続きます。
個人的には、一番好きな話です。
2.双子:TWINS
ジョイ・リーとサンキ・リーという、双子の黒人の姉と弟の会話劇です。
その会話に暇なのかさぼりたいのかわからない、ウェイターのスティーブ・ブシェミが絡んできます。
姉弟の軽い口喧嘩やウェイターからのどうでもいいエルヴィス・プレスリーの話などなどです。
白人と黒人のジョークもありますが、まぁどうでもいい話を繰り広げます。
3.カリフォルニアのどこかで:SOMEWHERE IN CALIFORNIA
ロック歌手のイギーポップとトム・ウェイツが共演しています。
非常に珍しく、豪華ですね。
そして、物凄い気まずい雰囲気を醸し出していますし、会話も軽い毒やけん制し合ってる感じが面白いです。
イギーポップのオドオド感と、トム・ウェイツの番長感がスゴイ好きです。
4.それは命取り:THOSE THINGS’LL KILL YA
ジョー・リガーノ、ヴィニー・ヴェラ、ヴィニー・ヴェラ・Jrが禁煙や健康について、ただ話しています。
でも、雰囲気がなんか迫力がある。
イタリアのマフィア映画を何故か個人的に連想してしまう。
5.ルネ:RENEE
ルネ・フレンチ、E・J・ロドリゲスが、客と店員に扮して繰り広げられます。
とにかく美人で色っぽいルネに、お近づきと言うか接点を持ちたいウェイターのどうでもいいことしちゃう感が面白い。
ただ、関わりたくてウェイターが話しかけるだけの話ですが、空気感が最高です。
6.問題なし:NO PROBLEM
アレックス・デスカスとイザック・ド・バンコレの会話です。
久々に再会した友人に対して、問題があると思い込み、問題があるのか気になってしまうというお話。
もちろん、友人に問題はない。
あとは、サイコロをよく振っている。
7.いとこ同士:COUSINS
ケイト・ブランシェットの一人二役です。
セレブのケイトと、見た目は似ているが正反対のいとこの会話です。
ある種の自虐的会話という感じが、楽しめます。
また、ケイト・ブランシェットの幅も観て楽しめます。
8.ジャック、メグにテスラコイルを見せる
ザ・ホワイト・ストライブスのジャック・ホワイトとメグ・ホワイトが出ています。
タイトルのまんまの話で、ジャックはテスラ・コイルを開発しており、それを話して、持って来ていたテスラ・コイルの実験を見せるという話です。
9.いとこ同士?:COUSINS ?
アルフレッド・モリーナとスティーヴ・クーガンの会話です。
スターのスティーブ・クーガンが相手を舐めており、相手のことがわかって来るうちに態度や発言を撤回していく面白さがあります。
何となく、あるあるな感じの話。
10.幻覚:DELIRIUM
喫茶店で待ち合わせをしていた、ウータン・クランのGZAとRZA。
ウェイターを呼ぶとなんとそれは、ビル・マーレイ本人。
3人で、幻覚の話をするというお話です。
11.シャンパン:CHAMPAGNE
ビル・ライスとテイラー・ミードという老人二人が、b<>清掃の仕事の休憩時間にコーヒーを飲みながら会話します。
コーヒーを飲みながら、まったりとした時間や空気を見事に醸し出しています。
コーヒー同様に、味わい深い二人の会話と演技で、コーヒー&シガレッツは締めくくられます。
映画:コーヒー&シガレッツ、オススメです!
コーヒー&シガレッツはオムニバス映画ですので、これといったストーリーがあるわけではありません。
しかも、各話ごとにもしっかりとストーリーがあるというわけでもないですね。
空気感というか行間というか、雰囲気込みで楽しむ映画でしょう。
本当に楽しむというより、嗜むという表現の方が適切かもしれません。
この映画はコーヒー&シガレッツの名の通り、癖はあるけど何か好きになる、中毒というか病みつきになる魅力があります。
何と言うか、ずっと観てられるんですね。
何が起きなくても。
とにかく百聞は一見に如かずですので、
言いたいことは、
「コーヒー&シガレッツ」、オススメです!
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