ギャグを織り交ぜ、重たい題材を楽しくさせることに成功しつつも、しっかりと感動もさせてくれる「50/50・フィフティ・フィフティ」。
脚本のウィル・ライザー自身が実際にガンになった経験を基に執筆された作品です。
また、ウィルの友人のセス・ローゲンなど周囲にいた人間の感情や関りも作品に反映されており、リアリティと映画として楽しめる要素がバランスよく混ざりあっています。
目次
映画:「50/50」のあらすじ・概要
公開 | 2011年 |
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監督 | ジョナサン・レヴィン |
主演 | ジョゼフ・ゴードン=レヴィット |
TOMATOMETER | 94% |
主人公は、腰の違和感や痛みから、検査を受けたら5年先の生存率が50%の長い病名のガンであることがわかり、闘病生活と治療が始まります。
仕事、恋人、友人、家族との関わり方や自分自身も変化していくことになり、ガンになったことを通して様々な葛藤や発見があります。
治るか治らない、死ぬか生きるかも「50/50」です。
若くしてガンになるという重たく難しい内容をしっかりと描きつつも、笑いや感動を織り交ぜて、楽しんで観られる素敵な映画になっています。
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実話から来る絶妙なバランス感のフィフティ・フィフティ
日常からガンになったことがキッカケで劇的に変化するのですが、大げさな演出もなく良いバランスで描かれています。
ですが、どこかで「あるある」と自分には経験もないのに共感する部分があり、違和感がなく観てられるのです。
ガンになった気がしない主人公も徐々に自覚してきます。
彼女や友人の反応も予想とは違ったり、予想通りだったり。
主人公の母親は、心配性で世話焼きたがりのヒステリーっぽい部分もある感じですが、母親ってこういうとこあるよなと思わせてきて見事です。
大げさな演出をしないで自然に見せることが出来ていますし、感情や環境の変化も観ていて共感できます。
笑いと感動のバランスも絶妙で、肩に力を必要以上に入れることなく楽しんで観ることができます。
「50/50・フィフティ・フィフティ」の主要な登場人物
フィフティ・フィフティの主人公は、ラジオ局に務める優しげな27歳の青年アダム(ジョゼフ・ゴードン=レヴィット)です。
アダムの闘病がメインの物語になります。
アダムの彼女はアーティストでずぼらで身勝手な女のレイチェル(ブライス・ダラス・ハワード) でガンをキッカケに関係性が変わっていきます。
彼女だけではなく、親友の陽気なカイル(セス・ローゲン)や両親、特に母親のダイアン(アンジェリカ・ヒューストン) とも関係性が変化していきます。
また、ガンをキッカケに出会った人たちからもアダムは影響を受けます。
同じようにガンを患って治療しているアランとミッチとは年の離れた友人になりました。
セラピーで出会った新人の臨床心理療法士キャサリン(アナ・ケンドリック)との出会いは物語において、ドラマ性を高める要素もありますがアダムにとっては大きな出会いと言えるでしょう。
ガンになったことで人間関係に大きな変化
ガンになって離れていく人間が身近にいた彼女のレイチェルでしたね。
まぁもともとカイルに言わせればクソ女で客観的に見てもアダムと合ってない感がビンビンでしたけど。
とにかくレイチェルはクソ女なキャラクターではあるんですが、そんなに胸糞悪くならないで笑って観てられます。
アダムは両親とは、若干距離を置いているような印象が最初は感じられます。
母親は口うるさく世話を焼きたがるタイプですが、父親はアルツハイマーで多少ボケています。
母親は父親の世話があり迷惑をかけられないということもあるのでしょうが、やはり家族と友人の愛と絆が重要になっていますし、いやらしくなく描かれています。
ガンになってからの出会い
アダムはガンになったことで、同じくガンと戦っている先輩方と友情を深めます。
長い間、ガンとともに生活をしているアランとミッチから、学んだり交流を深めることはアダムにプラスの要素をもたらしました。
また、セラピーを受けることで知り合った臨床心理療法士キャサリンは、若く至らない部分も多いですが、アダムは徐々に心を開いていきお互いにセラピーを通して成長して好意を深めていきます。
アナ・ケンドリックが、とにかく可愛らしいしね。
これらはガンになってからの本当の意味での新しい出会いと言えますが、ガンを通じて家族や恋人、友人の新たな側面を見ることも新しい出会いと言えるでしょう。
手術の直前に葛藤や不安に悩まされながらも、友人と家族に支えられていることに気がついたアダムは良かったです。
映画:「50/50」のネタバレ・感想
ガンの闘病の話なんて、辛気臭いかお涙頂戴でしょ、とお思いの方は「50/50・フィフティ・フィフティ」を観てください。
そのようなイメージが吹っ飛ぶようにうまく出来ています。
ホントにタイトル通り、50/50で感動と笑いのバランスが絶妙なんです。
ガンに突然なるという出来事は、映画では地味とも思うかもしれませんが、大きな出来事で人生の一大事とも言えます。
身近でありながら、非日常だと思っていることをしっかりとエンターテイメントとして映画化しているので、楽しみながらもどこかリアリティを感じて観ることができます。
主役はジェームズ・マカヴォイの予定だった
当初、主役はジェームズ・マカヴォイの予定だったらしいですね。
確かに、ジョゼフ・ゴードン=レヴィットとジェームズ・マカヴォイは個人的に似ている雰囲気を感じていて納得です(笑)。
ですが、マカヴォイも良いですが、ジョゼフ・ゴードン=レヴィットで正解だと思いました。
あのアダムの柔らかい雰囲気と内に秘めた感じとか、ジョゼフ・ゴードン=レヴィットの仕事が大きいと思いました。
安定のセス・ローゲン
実際にガンになった友人が脚本ですし、製作にも絡んでいるセス・ローゲンですから、当時の自分の体験も反映されているのでしょう。
そう考えるとコメンタリーではふざけ倒してましたが感慨深いです(笑)。
友人として、ガンになった人間に接して、それを克服するまでを見守ったセス・ローゲンは役どころとバッチリです。
また、要所で映画の雰囲気を盛り上げて笑かしてくれます。
そして、ふざけていただけの友人ではなく少しの感動もプレゼントしてくれるセス・ローゲンは最高です。
セリフ少なめのアダムの父親に感動
母親は母親で、万国共通なのか鬱陶しさを出しながらも息子への愛を感じられて感動させてくれます。
父親はアルツハイマーで、息子のことがわからなかったりと感動とは無縁な感じかなと思わせといて、手術前のアダムとのやり取りで涙腺をぶっ壊してくれます。
セリフと言うより、表情で泣かされましたね。
ジャケット自慢した後に、あれをやられたら泣くわ(笑)。
「50/50・フィフティ・フィフティ」、オススメです!
「ガンの映画かぁー」と最初に感じたのは僕も感じました。
何となくガンのイメージから、手が伸びない方もいることでしょう。
確かにガンが題材とか以外でも、映画はテンションや気分によって観ることを避ける作品が出てきてしまいます。
好きだけど、あまり観ないという作品もあるぐらいです。
ですが、「50/50・フィフティ・フィフティ」は重い題材の作品なのにあまりテンションや気分に左右されずに何となく観て楽しむことも出来ます。
派手さは特にないですが、丁寧な作品で無駄がなく良く出来ています。
また、落としどころも上手いので鼻につきませんね。
とにかく百聞は一見に如かずですので、
言いたいことは、
「50/50・フィフティ・フィフティ」、オススメです!
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