「マネー・ボール」は、「マネーボール:不公平なゲームに勝利する技術」というノンフィクション本が原作の映画です。
メジャーリーグのオークランド・アスレチックスのビリー・ビーンGMが資金が少ない球団を、
ヤンキースなどの資金力がある球団に勝ち、優勝をするために、
セイバーメトリクスというデータや理論を駆使した手法で野球界に革命を起こした実話の映画化です。
目次
映画:マネー・ボールのあらすじ・概要
公開 | 2011年 |
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監督 | ベネット・ミラー |
主演 | ブラッド・ピット |
TOMATOMETER | 94% |
MLBの球団、オークランド・アスレチックスのGMをやっているビリー・ビーン。
アスレチックスは健闘しているが資金力が弱く、資金力のある球団に選手を引き抜かれていく状態でした。
メジャーリーグの傾向としても、金銭ゲーム、マネーゲームの側面が強くなっており、
貧乏球団と金万球団の格差は拡がるばかりでした。
ビリー・ビーン(ブラッド・ピット)はセイバーメトリクス手法を取り入れ戦うことを決意しますが、
それは、今までの野球観や常識と異なる考えになり、成功する保証もない、批判や懐疑的な目が多い中、
信念を持ち、セイバーメトリクス手法をビリー・ビーンは進めていきます。
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資金力の差という不公平性の中で勝つために
2001年10月15日にアスレチックスはヤンキースをあと一歩まで追い詰めましたが、力及ばず。
しかも、アスレチックスの主力のデーモンとジオンビはヤンキースなどに引き抜かれてしまいます。
1億1445万7768ドルのヤンキース対3972万2689ドルのアスレチックスという資金力に大きな格差がある戦いでした。
追い詰めても、主力を引き抜かれてまるで下部組織のような状態の中で戦わなければいけないという不公平な戦いです。
資金を増やしてほしいとビリーはオーナーに頼みますが、願いは叶わず。
あくまで優勝を目指すビリーは主力が引き抜かれ厳しい状態の中で、資金力に頼らず金満球団に対抗する策を考えます。
固定概念を覆すビリー・ビーンのチーム編成
ビリーやスカウトたちは、来季に向けて失った戦力を埋める補強について話し合います。
スカウトは良くも悪くも、固定概念に縛られ経験や勘に頼った選考しかできず、ビリーの意向に適しません。
問題を明確に理解していないスカウトとビリーの間には大きな考え方の溝が出来ています。
また、セイバーメトリクスをビリーが進めるのには資金の少なさと、
自身もスカウトに高く評価されプロ野球選手になったが活躍できなかったという過去からも、
勝つために必要なデータを重視するという考え方になっていったという部分も見て取れます。
マネー・ボールで描かれるセイバーメトリクスとは?
ビリーはインディアンズで出会ったピーター・ブランド(ジョナ・ヒル)に目を着けます。
ピーターは選手の分析の仕事をしており、考え方と才能を見込んだビリーはピーターを引き抜くことにします。
ピーターを手に入れたビリーは、セイバーメトリクスでのチーム強化を進めていくことになります。
攻撃では、打率や打点、本塁打などの分かりやすい部分が評価されがちな世界で、ビーンたちは出塁率を重視します。
打撃や野手に対して重要視したのは、
- 出塁率が高い
- 長打率が高い
- 選球眼が良い
- 慎重性がある
の要素で、安打数ではなく四球を含めて良く出塁する選手を評価し、
また、どんな手段でも出塁することを重視しました。
逆に重要視しない要素として、
- バント・犠打は駄目
- 盗塁は駄目
- 打点・得点圏打率は偶然
- 失策、守備率は度外視
などの偶然や判定結果に左右されるものや自動的にアウトを献上する行為を排除していくという考えです。
投手で重要視した要素は、
- 与四球が少ない
- 奪三振をよく取る
- 被本塁打が少ない
- 被長打率が少ない
という失点に結びつかない要素を重視しました。
逆に重視しなかった投手の要素は、
- 被安打の数
- 防御率・自責点
- 勝利数・セーブ
- 球速
などの、アウトに関係のない部分や投手個人による要素だけではないものを重要視しませんでした。
セイバーメトリクスでアスレチックスは快進撃!
セイバーメトリクスを基に選手を獲得し、チーム構成を作りましたが、
指揮する監督(フィリップ・シーモア・ホフマン)や選手一人ひとりには意識付けできていないので、
最初からうまく機能したとは言えない状態で、むしろ負けこんでいました。
オールスター前などの、前半戦はビリーが推すハッテバーグ(クリス・プラット)が起用されず、
ビリーの思うようにチームが機能されて行きませんでした。
ビリーは荒療治とも取れる手段で、ルーキーのペーニャや素行の悪いジェレミー・ジアンビ(ニック・ポラッツォ)を移籍させ、
チームに自分の考えを浸透させていくように現場にも積極的に介入していきます。
チームの歯車がかみ合いだしたアスレチックスは20連勝という記録を打ち立てます。
その影にはセイバーメトリクス理論に基づいたチーム編成が大きく影響していたのは事実です。
マネー・ボールは批判や論争も生んだが爪痕は残している
セイバーメトリクス理論は完ぺきではなく、理論外の成功例も多くあります。
また、従来の価値観と相反する部分もあり、批判的な声があるのも事実です。
ですが、資金力のない球団が戦うアイデアとしてビリーは実践し、
ある程度の結果を残していったのも事実です。
また、最近はスポーツのあらゆるデータを見られる環境になっており、
ファンもデータを見て観戦を楽しむようになっているので、勝つための理論というだけでなく、
マネー・ボールで野球観戦、スポーツ観戦の新しい価値観や楽しみ方という面でも爪痕を残したといえるのではないでしょうか。
映画:マネー・ボールのネタバレ・感想
映画のマネー・ボールはセイバーメトリクス理論でアスレチックスが快進撃を起こしたという実話が基になった映画です。
そう考えればネタバレも何もその通りという感じですね(笑)。
マネー・ボールの良い部分は、まずテンポが意外と良いということと、
やっぱりブラッド・ピットが主役で良かったなという部分はありますね。
地味な話といえば地味な話ですし、選手や試合がメインではなく理論や裏方がメインなので、
やっぱりブラッド・ピットは画が持つし観てられますな。
テンポは試合もそうですし、会議や選手とのやり取りなど、ポンポンと進んで怠くなく観れます。
また、離婚してる妻と娘が出てきますが、変にストーリーに絡まなくて脱線しないので良かったです。
ストーリーに関係ないけど娘が歌う歌は意外と良かった(笑)。
映画:マネー・ボール、野球に興味がなくても面白い!
華やかなMLB、メジャーリーグの世界であっても格差は存在しており、
また、GMという裏方の仕事はあまりスポットを当てられないので、とても興味深いです。
派手さはないですが、野球のシーンも良く出来てるし、
ビリーとピーターを中心にセイバーメトリクスがチームに浸透していき、
アスレチックスが快進撃を起こすまでの流れもテンポが良くて楽しめます。
多少、映画、マネー・ボールはビリーとセイバーメトリクス理論を持ち上げていて偏りはあるようですが、
実話ですし、現実として起きたことなので違和感もなく楽しめます。
また、野球の試合そのもののシーンは少ないですが、戦っていることが伝わり、
データから新たな野球の側面もわかって、面白い映画だと思います。
とにかく百聞は一見に如かずですので、
言いたいことは、
「マネー・ボール」、オススメです!
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